コーヒースタンドを開業するには？方法や成功させるコツを解説

2024/5

「コーヒースタンド」は、立ち飲み形式のコーヒーショップです。気軽に利用できるコーヒースタンドは近年人気が高まっており、開業のハードルが低いことも魅力です。しかし、憧れのコーヒースタンドの開業にはどのような準備が必要なのか、分からないこともあるでしょう。そこで本記事では、コーヒースタンドを開業する流れやポイントについて解説します。

コーヒースタンドとは

そもそも「コーヒースタンド」とはどのようなものなのか、詳しく見ていきましょう。

• 立ち飲みメインのコーヒーショップ
• 「カフェ」や「喫茶店」との違い
• テイクアウトカフェとの違い

立ち飲みメインのコーヒーショップ

「コーヒースタンド」とは、店内に座席がなく、立った状態でコーヒーを飲む「立ち飲み」形式のコーヒーショップのことです。店舗によってはテイクアウトできることや、コーヒー以外のドリンクやフードが選べるものもあります。ただし、店舗によって仕様が異なり、おおむね次のような種類のコーヒースタンドがあります。

• 店内で飲食できないテイクアウト専門の店舗
• 立ち飲みできるカウンターなどがある店舗
• 立ち飲みカウンターをメインだが、数人程度座れるスペースを設置している店舗

「カフェ」や「喫茶店」との違い

コーヒースタンドとカフェや喫茶店の大きな違いは、主力メニューにあります。カフェや喫茶店はフードも充実している一方で、コーヒースタンドはコーヒーがメインです。カフェや喫茶店はゆったりとくつろぐための席やスペースなどを設けている一方で、コーヒースタンドはテイクアウトを前提としており、席はあったとしても数席程度の場合が多いです。

コーヒースタンドを開業するメリット

コーヒースタンドの開業には次のようなメリットがあります。

• 開業コストやランニングコストを抑えられる
• 顧客の回転率が高い傾向があり収益が得やすい

開業コストやランニングコストが抑えられる

コーヒースタンドはテイクアウトや立ち飲みでの利用がメインとなり省スペースで済むため、カフェや喫茶店の開業と比べるとテナントの物件費用を安く抑えやすい傾向にあります。また、スタッフも少なくて済むため、人件費も抑えられます。
加えて、フードのバリエーションも必要最低限にしておくことで、原材料費や冷蔵庫などの設置を最小限に減らせます。

顧客の回転率が高い傾向があり収益が得やすい

カフェや喫茶店の場合は顧客の滞在時間が長い傾向にあり、満席時は新たな顧客が入れなくなってしまいます。一方でコーヒースタンドはテイクアウトや立ち飲みがメインなので、顧客が長期滞在しづらく、回転率が高い点がメリットです。回転率を上げることで、収益を得やすくなります。

コーヒースタンドを開業するデメリット

コーヒースタンドの開業には次のようなデメリットもあるため、事前に精査しておきましょう。

• 高品質なコーヒーが必要
• コーヒーの仕入れや管理が大変
• 適切な価格設定が必要

高品質なコーヒーが必要

コーヒースタンドの主力商品はコーヒーです。そのため、肝心のコーヒーの品質が良くなければ顧客がつかず利益を上げにくくなります。しかし高品質なコーヒーを持続的に提供できれば、その手軽さからリピートにつながる可能性が高まるでしょう。

コーヒーの仕入れや管理が大変

コーヒースタンドでは高品質なコーヒーを顧客に提供する必要があるため、コーヒー豆やコーヒー粉の仕入れルートの確保が必要になります。また、コーヒー豆やコーヒー粉は劣化するため、保管方法にも注意が必要です。たとえばカプセル式のコーヒーマシンを導入すると、コーヒーの鮮度を保ちながら保管できるため、豆の管理に慣れていない人にとっても便利です。

適切な価格設定が必要

コーヒースタンドの主力商品となるコーヒーは、ユーザーのニーズや近隣のカフェなどと比較しながら適正な価格を設定する必要があります。豆の原価や人件費なども含めて試算してみましょう。価格が高すぎると利用しづらく、安いと利益が出にくいため、原価や人件費をもとに適切に設定することが大切です。

コーヒースタンドを開業する流れ

コーヒースタンドの開業は次のような流れで行いましょう。

1. 事業計画を立てる
2. 開業資金を準備する
3. テナントの物件を契約する
4. 内装工事や設備導入を行う
5. 各種届出や資格取得を行う
6. スタッフの採用や教育を行う

1.事業計画を立てる

まずは次のようなポイントを意識して、事業計画を作成します。なお事業計画書は、開業資金の融資や助成を受けるときに必要になるため、しっかりと作りこんでおきましょう。

• 店舗のコンセプト
• 顧客のターゲット層
• どんなコーヒーを提供するか
• どこに店舗を出店するか
• 開業資金や経費の目安
• どれくらいの利益が見込めるか

2.開業資金を準備する

事業計画書を作成できたら、コーヒースタンドの開業のために必要な資金を調達しましょう。自己資金で足りない分は銀行で融資を受けたり、助成金や補助金を利用したりする必要があります。適切な事業計画を作成しておけば、融資を得やすくなります。

3.テナントの物件を契約する

資金を調達できたあとは、店舗を運営するテナント物件を探し、適切な物件を契約しましょう。コーヒースタンドは顧客の回転率が重要なため、立地選定が開業の成否を左右するといっても過言ではありません。店舗のターゲット層が周辺地域にどれくらい居て、どのような競合店があるかなど詳しく調査することが大切です。

4.内装工事や設備導入を行う

テナント物件を選んだら、内装工事や各種設備の導入などを行いましょう。通常のカフェとは異なり、コーヒースタンドは店舗の規模が小さく、テイクアウトや立ち飲みがメインなので、大規模な内装工事は必要ありません。

しかし、「立ち寄ってみたい」と顧客に思ってもらうためにも、店構えやデザインにはこだわりましょう。なお施工業者については、コーヒースタンドやテイクアウトカフェなどの施行実績が豊富な業者を選ぶと安心です。

5.各種届出や資格取得を行う

工事と併せ、店舗の営業許可を取得しましょう。都道府県に「飲食店営業許可証」を申請し、食品衛生責任者の資格を取得します。営業許可の申請から取得までの期間は自治体によって異なるため、開業する場所の自治体にあらかじめ確認し、スケジュールに余裕をもって手続きすることが大切です。

6.スタッフの採用や教育を行う

スタッフを雇用する場合は、早めに採用活動と教育を行っておく必要があります。スタッフの準備が整うまでに1か月程度はかかるため、開業の数か月前には求人を出して募集を開始しておきたいところです。

コーヒースタンドの開業に必要なもの

コーヒースタンドを開業するために、次のものは必要となるので用意しておきましょう。

• 開業資金
• 備品
• 資格

開業資金

一般的なカフェの開業費用は900万円前後が相場だといわれていますが、コーヒースタンドは物件の規模が小さく必要な設備も少ないため、基本的には500万円程度で開業することが可能です。

備品

コーヒースタンドの開業には、次のような備品が必須となります。

• ドリップマシン
• コーヒーグラインダー
• シンク
• 給湯器
• 冷蔵庫
• 製氷機
• 焙煎機
• エスプレッソマシン
• レジ
• エアコン
• テーブル

提供するコーヒーの抽出方法によって、必要な備品も変わります。高品質なコーヒーを提供するためには、コーヒーマシンの設置がおすすめです。

資格

飲食店の経営には、1名以上の「食品衛生責任者」の設置が必要となります。個人でコーヒースタンドを開業する場合は、オーナー自らが食品衛生責任者の資格を取得することが多いです。食品衛生責任者の資格は、自治体が開催する講習会を受講することで取得できます。

また、「コーヒーソムリエ」「コーヒーマイスター」「コーヒーインストラクター検定」なども取得しておくと、コーヒーに関する知識が増えて顧客との会話も楽しむことができ、信頼につながるでしょう。

コーヒースタンドの開業を成功させるポイント

コーヒースタンドの開業を成功させるために、次のようなポイントを意識しましょう。

• ターゲット設定と物件選定が重要
• 補助金や助成金などを活用する
• SNSやブログを活用して集客する
• 高品質なコーヒーを提供できるマシンを導入する

ターゲット設定と物件選定が重要

コーヒースタンドは回転率が重要なので、ターゲットと物件を適切に選定し、顧客に選ばれる店舗をつくる必要があります。たとえば、会社員をターゲットとする場合は、オフィスビルや駅の近くの立地が理想的です。主婦（主夫）や家族連れをターゲットにするのであれば、ショッピングセンターの近くにすると、買い物ついでに立ち寄りやすいでしょう。このように顧客層の行動範囲や習慣を踏まえて、物件を選ぶことが大切です。

補助金や助成金などを活用する

開業資金に余裕がない場合や、融資を受けても不足している場合は、補助金や助成金なども積極的に活用しましょう。金融機関からの融資や、各自治体の補助金などを利用すると、不足した開業資金を補って開業しやすいのでおすすめです。

SNSやブログを活用して集客する

収益を得るためには、まずは自店舗を認知してもらわなければ集客できません。近年では、Instagram・X（旧Twitter）・YouTubeなどのSNSやブログを活用し、認知と集客を図る店舗が増えています。たとえば、自店舗の店構えやコーヒーの写真、出店場所などを投稿することで、認知が広がって顧客が増える可能性があります。基本的には無料で利用できるため、SNSやブログを上手く活用することで広告宣伝費を大幅に節約できるでしょう。

高品質なコーヒーを提供できるマシンを導入する

コーヒースタンドでは、良質なコーヒーを安定的に顧客に提供することが大切です。しかし、コーヒー豆やコーヒー粉の仕入れルートの安定的な確保・保管は初心者には難しい面もあるでしょう。そこでカプセル式のコーヒーマシンを導入することで、手間を抑えて良質なコーヒーを提供できるようになります。さまざまなコーヒーを選べるうえに、使用後はカプセルを捨てるだけなのでメンテナンスも容易です。