ベンチャー企業は福利厚生が重要！代表的な福利厚生やユニークな事例を解説

2023/11

近年では「福利厚生」の重要度が高まっています。しかしベンチャー企業の場合は、資金的に余力がなく福利厚生の拡充が難しいこともあるでしょう。ベンチャー企業で福利厚生を導入すると、企業イメージや採用力が向上し、競合他社との差別化を図ることができます。

福利厚生にもさまざまな種類があり、少ない予算でも大きな効果が出る福利厚生を導入可能です。そこで本記事では、ベンチャー企業における福利厚生の概要や種類、高い効果が出ている事例10選をご紹介します。ベンチャー企業の福利厚生でお悩みの方は、ぜひご参考ください。

ベンチャー企業の「福利厚生」とは？

「福利厚生」とは、通常の給与や賞与以外の金銭的・非金銭的な報酬のことです。福利厚生の主な目的は、従業員とその家族の生活や健康の向上にあります。そんな福利厚生には、大きく分けて以下の2種類のものがあります。

• 法定福利厚生
• 法定外福利厚生

法定福利厚生

「法定福利厚生」は、法律や法令によって企業への導入が義務付けられている福利厚生です。ベンチャー企業も含め、一定以上の従業員数の企業は、以下の6種類の福利厚生を導入する必要があります。

• 健康保険
• 雇用保険
• 労災保険
• 介護保険
• 厚生年金保険
• 子ども・子育て拠出金

法定外福利厚生

「法定外福利厚生」は、企業が自由に導入する福利厚生を指します。法律や法令では義務付けられておらず、その種類も企業によってさまざまです。法定外福利厚生の代表例は以下のとおりです。

• 住宅手当・家賃補助
• 健康診断・人間ドック補助
• スポーツクラブ補助
• 各種資格手当
• 社員旅行などのイベント開催
• オフィスコーヒーの導入

法定外福利厚生の主な目的は、人材獲得とチーム力の向上です。ベンチャー企業では、ユニークな福利厚生が独自に導入されるケースが増えています。

ベンチャー企業の福利厚生の特徴

ベンチャー企業の福利厚生には、以下のような特徴があります。

• 大手企業とさまざまな点で異なる
• ステージで福利厚生の充実度が変わる
• 独自性があるユニークな制度が多い

大手企業とさまざまな点で異なる

大手企業とベンチャー企業では、福利厚生の種類や内容が大きく異なります。両者の福利厚生の違いは以下のとおりです。

	大手企業	ベンチャー企業
福利厚生の種類	多い	少ない傾向がある
福利厚生の内容	住宅手当や生活補助など、一般的な金銭的補助が多い	自己投資を促すものや、職場環境の充実を図るものが多い
今後の変化の可能性	現状から大幅に変わる可能性は低い	企業の成長に伴い、新たな制度が導入される可能性がある

上記のように、大手企業とベンチャー企業の福利厚生を比較すると、大手企業のほうが手厚いのは事実です。しかしベンチャー企業の福利厚生は、大企業にはない新しくユニークな福利厚生が多いことが特徴です。

ステージで福利厚生の充実度が変わる

ベンチャー企業の福利厚生の充実度は、ベンチャー企業の「ステージ」によって変わることが一般的です。ちなみに、ベンチャー企業のステージは以下の4段階に分けられます。

シードステージ

創業前の状態であり、コンセプトはあるが具体的な商品・サービスは決定していないケースが多い

アーリーステージ

創業直後であるため、売上向上に多額の資金が必要。顧客や社会からの信用がまだ低いの事業リスクが高い

ミドルステージ

事業が軌道に乗り始めて収益が拡大していく。さらなる成長のために、人材の採用や設備投資をする企業が多い

レイターステージ

顧客や社会的が高まり、企業が安定的に成長している状態

ベンチャー企業の福利厚生が充実してくるのは、3段階目のミドルステージ以降だと考えられています。この状態になると、事業拡大のために多くの人材が必要になり、採用力の強化を図る必要があるからです。

一方で、シードステージやアーリーステージのベンチャー企業では、資金的な理由から「福利厚生を充実させたくても難しい」ことが多いでしょう。そのため、カフェスペースやオフィスコーヒーなど、低コストで導入しやすい福利厚生がおすすめです。

独自性があるユニークな制度が多い

ベンチャー企業の福利厚生は、独自性が高いユニークな内容が多い傾向があります。主な理由は以下のとおりです。

• 競合他社との差別化が図れる
• 自社に合う人材を集めやすい
• 企業の知名度やイメージが高まる

言い換えれば、たとえ資金的に余裕がない状態でも「低コストで魅力的な福利厚生」を導入すれば、高い効果が得られるということです。

ベンチャー企業で福利厚生が重要な理由

ベンチャー企業で福利厚生が重要な理由として、以下の3つのものが挙げられます。

• 従業員のモチベーションを高めるため
• 「企業イメージ」の向上を図るため
• 人材獲得力を強化する必要があるため

従業員のモチベーションを高めるため

ベンチャー企業で福利厚生を導入することで、従業員にとって「働きやすい職場環境」を整えることができます。例えば、オフィスにコーヒースペースやオフィスコーヒーを導入すると、従業員が休憩時に飲み物を飲んで気分転換する機会が生まれます。

これは従業員の心身の健康増進や、仕事への意欲・モチベーションの向上につながるでしょう。その結果、全社的な生産性や利益の向上が見込めるため、福利厚生の導入でベンチャー企業が得られるメリットは大きいといえます。

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「企業イメージ」の向上を図るため

ベンチャー企業の福利厚生を拡充させると、企業イメージ向上にもつながります。近年では、企業の従業員に対する姿勢や、労働環境に対する注目が高まっています。福利厚生により労働環境が改善されるため、社会からのイメージが良くなるのです。

企業イメージが向上すると、社会的な評価やステークホルダーからの信頼が高まります。その結果、企業の収益が向上してビジネスの拡大につながるなど、大きな効果が得られることもあるでしょう。

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人材獲得力を強化する必要があるため

近年では、職場環境を重視する求職者が増えており、福利厚生が充実した企業は求職者にとって魅力的に映ります。ベンチャー企業では、「人材獲得力」に課題を抱えているケースが珍しくありません。あらゆる業界で人手不足が深刻化している昨今では、人材獲得は企業の成長を左右します。

ベンチャー企業で福利厚生を充実させることで、自社が必要とする人材を獲得しやすくなります。優秀な人材を獲得するための環境が整えば、安定的な成長にもつながるでしょう。

ベンチャー企業で導入したい福利厚生の種類

ベンチャー企業では、以下のような種類の福利厚生を導入するのがおすすめです。

• 健康系
• 補助金系
• 家族・育児系
• 自己投資系
• 飲食系

健康系

トレーニングジムの費用補助や、始業前の「朝ヨガ」の実施など、「健康系」の福利厚生を導入するベンチャー企業が増えています。そのほかにも、社内に休憩スペースや昼寝スペースなどを設置し、従業員が休憩・リフレッシュしやすい環境を整えているベンチャー企業もあります。こうした福利厚生は、集中力や作業効率の向上に役立つでしょう。

補助金系

オフィスの近くに居住すると住宅手当が支給されたり、リモートワークの環境整備費の補助が受けられるなど、「補助金系」の制度も有名です。さらに、業務改善の提案が採用されると数万円が支給されるなど、ユニークで魅力的な福利厚生を導入している企業もあります。これらの福利厚生により、ベンチャー企業で働く従業員のモチベーションが向上するでしょう。

家族・育児系

ベビーシッターを企業負担で利用できたり、お子さまが小さなうちは在宅勤務に切り替えることができたり、育児関連の制度を整えるベンチャー企業が増えています。また、家族やパートナーなど大切な人の記念日に有給休暇が取れるといった、魅力的な有給休暇を整備するベンチャー企業もあります。従業員や家族を思いやる福利厚生により、従業員のエンゲージメントが向上するでしょう。

自己投資系

退職後に一定期間は復職ができたり、購入する書籍費を企業が負担したりするなど、従業員のスキル向上をサポートする「自己投資系」の福利厚生も人気です。また、通常は企業側が辞令を出して従業員を異動させますが、従業員自らが希望してキャリアパス設計が行えるベンチャー企業もあります。こうした福利厚生により、従業員の離職率が低下することが期待できるでしょう。

飲食系

社内にレストランやカフェを設置するベンチャー企業もあります。しかし莫大なコストがかかるため、簡易的なカフェスペースやオフィスカフェの導入も人気です。そのほかにも、従業員数名でランチを取ることで費用が補助されたり、部門をまたいで数名で飲みに行くことで費用が支給されたり、ユニークな福利厚生を導入するベンチャー企業もあります。

これらの福利厚生により、従業員同士のコミュニケーションが活性化され、従業員同士の結束力が強まります。その結果として、業務効率の向上や新たなアイデアの創出など、企業の成長につながる効果も期待できるでしょう。

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福利厚生の代わりに利用できる公的・民間の制度

福利厚生の導入コストは、福利厚生の種類によって大きく変わります。補助金や給付系の福利厚生は相当のコストがかかるので、自社で導入するのが難しいケースもあるでしょう。そのような場合は、以下のような公的・民間の制度を従業員に周知して、福利厚生の代替として利用するのも効果的です。そのほかの低コストな福利厚生と組み合わせれば、大きな効果が期待できるでしょう。

• 慶弔金・災害見舞金制度
• 住宅手当制度
• 各種自治体サービス

慶弔金・災害見舞金制度

福利厚生の一貫として、慶弔金や災害見舞金を支給する企業があります。一方で、「健康保険組合」や「自治体」の制度を活用できるケースもあるので、自社で導入が難しい場合は従業員に周知してみましょう。

健康保険組合によっては、従業員が慶弔金や災害見舞金の支給が受けられます。また、従業員が居住している自治体によっては、結婚・出産時の祝い金や、災害発生時の災害見舞金などが支給されることもあります。

健康保険組合や自治体で利用できる制度をチェックして、慶弔金や災害見舞金の有無の確認、従業員との情報共有を行っておきましょう。

住宅手当制度

従業員の住居費を補助するための福利厚生が「住宅手当制度」です。自社で住宅手当を支給できない場合は、従業員が自治体の住宅手当を利用できることがあります。地方自治体によっては、人口減少を解消するために「Uターン」や「Iターン」に関する制度の一環として、独自の住宅手当が受けられることがあります。

また、持ち家を購入する従業員が住宅ローンを選ぶとき、各種特典を利用すると生活費の負担を減らすことも可能です。つまり住宅ローンの制度は、住宅手当の代用になるということです。これらの制度を確認して従業員と共有すれば、福利厚生の代替として提供できるでしょう。

各種自治体サービス

各種自治体では、そのほかにも独自の制度を利用できることがあります。例えば、無料で参加できるクラブ活動や、資格取得や人間ドック受診の費用サポートなどです。こうした公的な制度を上手く活用すれば、自社で導入しなくても福利厚生の代用となるでしょう。

ベンチャー企業のユニークな福利厚生の事例10選

比較的低コストで導入しやすい福利厚生もあるので、ぜひ導入検討時の参考にしてみてください。

• 休憩時に昼寝ができる福利厚生
• 部門間で従業員同士が交流できる福利厚生
• 有給でボランティアができる福利厚生
• リモートワーク手当や補助が受けられる福利厚生
• 社内キッチンを設置する福利厚生
• サテライトオフィスが利用できる福利厚生
• 退職後に一定期間は復職できる福利厚生
• マッサージが受けられる福利厚生
• オフィスのカフェスペースが利用できる福利厚生
• オフィスコーヒーが利用できる福利厚生

休憩時に昼寝ができる福利厚生

オフィスに昼寝スペースやベッド・アイマスクなどを設置して、休憩中に従業員が昼寝できる環境を整える福利厚生です。スペイン語で昼寝を「シエスタ」と呼ぶことから、「シエスタ制度」と呼ばれることもあります。

昼食後に眠くなってしまうことがあるでしょう。短時間の昼寝を挟むことで、心身をリフレッシュできる機会が生まれます。その結果、業務効率の向上やクリエイティブなアイデアの創出など、企業の成長に役立つ効果が得られると考えられます。

部門間で従業員同士が交流できる福利厚生

部門をまたいで従業員の交流を促すための福利厚生です。例えば、スポーツ大会やプレゼント交換などのレクリエーションです。部門の垣根をなくすことで、社内の従業員が幅広くコミュニケーションを取ることができます。

同じ企業の従業員でも、「となりの部署のプロジェクトを知らない」「となりの部門の人の顔を知らない」ことは珍しくありません。積極的な交流を促すことで企業全体の雰囲気が良くなり、新たなアイデアの創出につながることもあるでしょう。

有給でボランティアができる福利厚生

従業員に対し、有給を取ってボランティア活動ができる福利厚生です。具体的には、1年あたり一定日数の有給ボランティア休暇が付与されて、従業員が給与を得ながらボランティア活動ができるというものです。

こうした福利厚生により、企業イメージの向上が見込めます。企業には「社会に対する責任」が求められています。従業員が積極的にボランティアに取り組むことで、社会への責任を果たすという企業姿勢をアピールできるでしょう。

リモートワーク手当や補助が受けられる福利厚生

従業員のリモートワーク環境の整備をサポートするための福利厚生です。毎月一定額のリモートワーク手当を支給し、さらにヘッドセットなどの購入費用なども支給するというものです。

近年では、ベンチャー企業を含むさまざまな企業で、リモートワークの普及が進んでいます。しかし、リモートワークは従業員側の環境が整っていなければ、効果的に運用することはできません。手当により光熱費・通信費の補充もできるため、従業員にとって魅力的な福利厚生だと言えるでしょう。

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社内キッチンを設置する福利厚生

従業員が自由に利用できるキッチンをオフィスに設置するという福利厚生です。企業側が用意した食材を使って、自由に料理を作ることができます。従業員同士が集まって調理・飲食する機会が生まれるため、社内コミュニケーション活性化につながります。その結果、組織力の強化や新たなアイデアの創出などが期待できるでしょう。

後述するオフィスコーヒーと組み合わせると、従業員同士でコーヒーを飲みながら食事を楽しむことも可能です。予算の都合でキッチンの導入が難しい場合は、小規模なカフェスペースを設置するのもおすすめです。

サテライトオフィスが利用できる福利厚生

自社オフィスから離れた場所にサテライトオフィスを設置する福利厚生です。例えば、東京のオフィスから遠く離れた地方の自然豊かな環境に、サテライトオフィスを設置するなどです。古民家を再利用すると、低コストで設置できるでしょう。

こうしたサテライトオフィスの魅力は、従業員により良い生活環境を提供できることです。リモートワークと併用することで、東京のオフィスと同じ業務をこなしながら、従業員が余裕のある生活を楽しむことが可能です。

退職後に一定期間は復職できる福利厚生

自社を退職してから一定期間は、自社に復職できるという福利厚生です。転職・スキル向上・ボランティア活動・海外旅行など、自己研鑽や広い視野の醸成のための離職が条件です。

一度は退職という形になりますが、戻れる場所が残されているため、従業員が思い切ってチャレンジできます。中長期的な観点で見れば、チャレンジ精神やスキルがある従業員の確保につながるため、自社の成長にもつながる福利厚生だといえるでしょう。

マッサージが受けられる福利厚生

社内で無料でマッサージが受けられるという福利厚生です。デスクワークの多い職場環境では、慢性的な肩こりや腰痛を抱えている従業員は少なくありません。企業側がマッサージの機会を設けることで、従業員が長く健康的に働ける環境を提供できます。

近年では、従業員の健康を気遣う「健康経営」が注目されています。従業員の健康が増進されることでモチベーションが高まり、さらに企業イメージも向上することが期待できるでしょう。

オフィスのカフェスペースが利用できる福利厚生

誰でも利用できるカフェスペースをオフィスに設置するという福利厚生です。カフェスペースの導入により、従業員同士でコミュニケーションを取る機会が生まれます。その結果、社内コミュニケーションが活性化して、職場環境の改善や創造性の向上につながることもあります。従業員エンゲージメントや企業イメージの向上も見込めるでしょう。

カフェスペースというと、本格的なものを思い浮かべるかもしれません。しかし、ごく小規模なカフェスペースであっても、コミュニケーションの活性化効果は十分得られます。後述するオフィスコーヒーも合わせて導入すれば、従業員にとってより魅力的な福利厚生になるでしょう。

オフィスコーヒーが利用できる福利厚生

オフィスコーヒーは、従業員が自由に本格的なコーヒーを飲むことができる設備です。オフィスコーヒーの設置により、従業員が休憩の合間にコーヒーを楽しむという機会が生まれます。その結果、適度な気分転換につながり、従業員同士のコミュニケーション活性化も期待できます。

オフィスコーヒーを設置することで、従業員が働きやすい環境を整備可能です。そのため、従業員の心身の健康を思いやる企業姿勢のアピールにもつながり、企業・ブランドのイメージ向上も期待できるでしょう。

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